自転車について。

 自転車愛好家にとって、自転車とはなんだろうか。
 
 自転車愛好家にとって、自分の足となる自転車は最高の相棒であり、最愛の伴侶となるものだ。僕はそう言い切りたい。
それは単に「自転車は乗り手によって操られ、乗り手の随意筋となる」といったの片務的主従関係でなく、信頼関係を基礎とした中世日本の「御恩と奉公」ような、互恵的関係ではないだろうか。
 つまり、自転車愛好家は自転車を自由に操れるわけであるが、決して無理な走行はせず、車体性能に沿った走行をする。自転車は乗り手に移動手段として利便性を提供するわけであるが、愛好家はメンテナンスというかたちでフィードバックを欠かさない。


 しかしそれだけではない。
 自転車と共に幾多の峠を越え、幾千の道を走り、海の青さを、空の広さを感じる。
 車体は愛好家の汗を、涙を、そして共にくぐり抜けた雨を少しずつ吸収してゆき、齢を重ねてゆく。
 そうした時間の中で、自転車はもはや離れられぬ存在へと深化してゆくのだろう。


 だから言うのだ。こう言われたら。

"Hey,it's a cool stuff!"

"Of course! But this isn't just a stuff. This is my best colleague!"

と。