国境。
ハンガリー入国以降、国境に、誰もいない。
人の自由移動に関する取り決めのシェンゲン協定によって、国境の入管は廃止され、ただその跡だけが残る。
いままでは国境で出国／入国スタンプともらってようやく国境を越えた気分になっていたのだが、ここではただ県境を越えるかのように行き来できてしまう。
国境が、ほんとにただの線でしかなくなっている。
スロバキアは山がちな地形だったが、幹線道路は渓谷に沿っており、標高が千ｍを越えることはなかった。雪も降らず、ただ遠くの白い山を眺めるだけという素晴らしい道となった。
チェコに入り、最初の大きな町、オロモウツ。
教会を中心といた広場、石畳の街路、路面電車とヨーロッパの風情に満ち溢れている。
聖三位一体柱。
共産時代、それまで時を告げていた聖者が労働者に替えられてしまったというからくり時計。
