春の香り、アフリカの匂い。

セットから1昼夜半、快晴のアフリカ大陸、その西北端タンジェへと到着した。

船を降り、街へ踏み出す。ヨーロッパにはなかった、「匂い」が飛び込んでくる。
日本を出て、中国に上陸したときと似た匂い。生活が漂ってくるというのか、活気が漂ってくるといえばいいのか。
懐かしさを、覚える。

タンジェは14世紀の大旅行家、イブン・バットゥータの故郷だが、その痕跡は残っていない。
市内の墓地に埋葬されているはずだが、碑文はすべてアラビア語、守衛に聞いても、「知らない」という。

港町の雰囲気を味わうことも早々に、南へと走り出す。
澄み切った、濃い青空がペダルを促す。

緑に満ちた大地、驢馬、羊の群れ、草を食む馬。
今までのどことも違う風景。
新鮮な気持ちで、丘を越える。

白い町並みが、また見えてきた。
北部モロッコテトゥアン。ここが、アフリカ大陸での、第一夜となる。

テトゥアン・モロッコ(Tetouan,Morocco)

総走行距離17723km