荒野に佇む王国、ハミ
敦煌から400余キロ、ここは新疆の地。
1800メートルの峠を越え、90キロ、130キロの無補給区間を抜けた。
地図にあっても、実在しない町もいくつかあった。
するとそこは、ブドウ、瓜の畑の広がる緑豊かな地であった。
ハミを通る国道312号は、シルクロードを志すほぼ全ての人たちが経由してきた道。
この道を通ってきたチャリダーの諸先輩も、幾人か知っている。
そんな道すがら、韓国人チャリダーのフン君と出会った。
道は一本。旅は道連れである。
ただ、彼と合流してから、初のパンク(6000キロぶりくらい。タイヤを替えてから初。)、パーツ破損など、トラブル続きで迷惑をかけてしまった。
敦煌から走り出した彼は、まだ元気たっぷりだった。
さらに、省境の村では、中国人チャリダー二人とも宿が一緒になった。
彼らは翌日、その村から200キロ先のハミまで走っていった。信じられない体力である。
街では、バザールが面白い。ウイグル人が、ナンやサモサ(羊肉と玉葱を炒めたものをつめて焼いた薄皮のパン)を売っていた。特産のハミ瓜も齧った。