ワハン渓谷を抜けて。

タジキスタンアフガニスタンとの国境になっている、パンジ川。
それに沿って、ワハン渓谷にはタジク、アフガンの両側に村が連なっている。

道中、町までの80キロの道のりを、家族9人のために買い出しに出る少年に会った。
自転車でアップダウンの激しい道を、一泊二日で往復する。

メインのパミールハイウェイからは、この旅最後の4000m級の峠を越えなければならない。
悪路のなか、それを越えると軍のチェックポイント。そして、最初の村は,80kmの先にある。

村々では、のどかな時間が流れている。対岸でも、似たような生活が営まれているのに、それは、違う国の話。
奇妙な感覚である。


この辺りに住むワハン人は、シーア派のイスマーイールを信仰している。
だが、アザーンも響かなければ、モスクもない。ラマダーンもないそうだ。
土着の自然信仰と多いに融合しているのだろう。

彼らは古代ソグド人の末裔とも言われている。
アレキサンダー大王の東征以前に、この地に住んでいた人々。
イラン系のタジク人以外の中央アジアの人々は、6世紀以降にアルタイ地方からやってきたテュルク系民族なので、彼らより2段階古いわけだ。


そのワハンの地は、わずかな耕地で雪解け水によって麦を育て、木々には果物のなるおだやかな地である。

ワハン渓谷の締めくくりは、石灰棚でできた温泉、ガルム・チャシュマに行ってきた。
長かった未舗装路の疲れを癒すのに、うってつけの場所であった。


ハローグ・タジスタン(Khorog, tajikistan)
総走行距離 7928キロ