奇妙な島。

チチカカ湖の6割は、ペルー領。
そしてその湖畔の町、プーノ近くの湖は、比較的浅いエリアとなっていて、水深5mほどしかない。
そのため、湖岸から数キロ離れた場所にも、葦の一種、トトラが自生する。
その葦を積み重ね、浮島を造って暮らしている人たちがいる。
インカの攻勢、そしてスペインの残虐から逃げたといわれる人々の末裔だ。

港から船で30分ほど、葦原を抜けていくとその島々はある。ウロス島、もしくは単に浮島と呼ばれる島々。
ひとつの島に6から7つの家族が住み、40ほどの島が集まっている。
そして風が吹いても流されないように、錨を下ろすように杭を打ち、島を固定することはかかせないという。
家も、船も、かつてはすべて葦で造っていた。今ではプラスチックやトタンを使い、より機能的になっているが、それでもいまだに葦は欠かす事のできないものだ。

だが、我々がツアーで訪れたのは、観光によって生計を立てる家族の住む島だけ。住民の大半は、観光地化という陸からの侵略を快く思っていないという。なぜならそれによる利益は島には回らず、陸の業者が儲けることにしかならないからだ。
数百年にわたって孤立を保ってきた島が、現代になってその孤立を脅かされている。

そんな島の将来を思いつつ、夕日が沈むのを浮島の上から眺めていた。

プーノ・ペルー(Puno, Peru)
総走行距離2428km