地平線。

川もない。オアシスもない。広大なステップが広がるウスチウルト台地は、砂漠よりも平坦な場所だった。
ただ、一直線に貫かれた道路と、並行して敷かれた鉄路。

そこで僕は初めて、地平線と言うものを知った。

見渡す限り平坦なこの場所で、たとえどんなに目を凝らしたところで、地形の変化は捉えられない。
空と地が交わるところは青く霞み、そして海を見たときに感じられるような、かすかな丸みを帯びていた。

国境は、そんな何もない台地に僅かな人だかりを作る。そして、人が集まれば交易が興る。
そんな自然のなりゆきを、垣間見た。

そしてここは、カスピ海沿岸の町。ソ連時代に油田とリゾートのために拓かれた新興都市は、荒野を越えたあとにはとても大きな町に見えた。

ここで、カスピ海の対岸、アゼルバイジャンのバクーまでの船を待つ。中央アジア、走破である。


左:平坦な荒野では、短波放送がよく入る。ただ、NHKはもうだいぶ電波が弱い。BBCが、休憩時のお供。
右:塩分補給に、塩味の割けるチーズがおいしい。いままではキュウリをに塩を振って塩分をとっていたが、もう旬が過ぎて、バザールでも見かけなくなった。

アクタウ・カザフスタン(Aktau, Kazakhstan)

総走行距離 10919キロ